Markey's Osaka West "Oba-han"River-side Blues......

       ── ひらりひらひら きままな稼業 風に吹かれて 東へ西へ

2010年6月9日水曜日

イタリア男の謎

気がつけば、結構ケチな距離の移動を繰り返しているこの頃なのだが…

ふだんほとんど飛行機に乗ることはない。 最後に海外へ行ったのはもうかれこれ13年前だ。
イタリアだった。ベネツィアは行く前の大雨で冠水していて、観光どころではなかった。
フィ レンツェのちょっと小汚いオステリアでの食事が美味しかった。
高い観光客相手のリストランテになんていかなくても、イタリアのオッサンが集 まる場末のような店でじゅうぶん美味しいものとワインが楽しめた。 まあどこでも場末が性に合っているのだ。

あっち では本当に夜の11時ぐらいから誰もが食事をするために店が混んできて、いい中年のカップルが、前菜としてのパスタをガバガバ食べながらワインをこれまたガバガ バ飲んで、機関銃のようにどちらもしゃべって3時間ぐらいかけて食事をとっているのを見て驚いた。
ありゃ食事が終わるのは夜中という か、すでに翌日になっちゃうわ。
飲食店に限らず、店という店に全部昼休みがあるのも納得できた。みんな夜中まで活動しすぎで、夜中まで食べ 過ぎ飲みすぎで、翌日昼寝しなけりゃそらもたんわな。


あと、イタリアでよかったのは、靴や洋 服のサイズがワシ向けのも十分あることだ。
やたらとデカくて買う物がないアメリカやカナダとは違い、イタリア人には体格が小さい人がいっぱ いいる。これは驚きだった。ハイブランドの極めてスタイリッシュなイメージがあるので、売ってるのはトールサイズばっかりだろうと勝手に思い込んでいたが、デパートなんかに行くとヨーロッパサイズで34や36、丈感もショートなものが沢山ある。日本の平場と変わらない。靴も小さいのが普通にある。
これは喜ばしかった。アルマーニにも 小さい服がいっぱいあってびっくりした。
ハイブランドにも小さいサイズがあるのかー。なんだか衝撃だった。

それから、わかっちゃいたけどイタリア男の生物学的「オス」としての正しいあり方に感心させられた。
安ツアーだったので夜中にローマのホテルに 着き、ボーっとした頭でTVをつけてみると、とにかく男性用の伊達磨きアイテムのCMがこれでもかと絨毯爆撃を繰り広げている。しかもその映像がいちいち過剰な セックスアピールに満ち満ちている。モノクロの映像で、だいたいが男性の肢体をなめるようにパンしていくのである。そのカメラワークがほんまにしつこい。

誘惑には欠かせないパヒュームに始まり、ボディシャンプー、ヘアケア用品、アウター、下着、靴、メイク用品、時計…
低 音のセクシーなナレーションが、「uomo affascinante~」とか「bellissimo~」「L'uomo piu' sexy」とかばっかり言っている。もうそれらのCMの数や、連発どころの騒ぎではない。
で、当然のように映像がいちいち格好いい。流石イタリア、デザイン大国の名は伊達 じゃない。特に下着のCM量が半端ではなく、恐ろしく広告自体も気合が入っている。イタリア男は下着でそんなに勝負するのかー。へー。ほー。

と 見入っていて、孔雀や古代エジプト人を思い出した。

元来オスは生物学上、美しくあるべきなのだ。そのために着飾らな ければならない。ブサイクなオスは遺伝子を残せない。オスこそなんといっても美しくあるべきなのだ、という明確な主張が感じられ、それは理屈もクソもなく 非常にわかりやすい。なんというか、人類、いや、生物の根源に関わる部分を恥じることなく主張していて、それが非常に小気味よく感じられたのである。
い ろいろ屁理屈こねたところで、オマエら男の外見としてファッシネイティブなんかいオラー、ブサイクは負けやぞワレー、という、ある意味グサーっと真正面から斬り込んで来る残忍さである。まあ一種の威嚇広告ともいえるが、これ日本の男だったら完全に打ちのめされてしまうんじゃないの。

が、しかし。
たしかにイタリア男はカッコエエのも多いと思うけど、ある年齢になるとイタリア 人ほど「オッサン」という呼称がピターッと嵌ってくる欧米人もいないと思う。
「フランス人のオッサン」「ベルギー人のオッサン」といってもイマイチピンと 来ないが、「イタリア人のオッサン」というと具体的な画像が直ちに脳裏に浮かぶ。

なんでや?なんで洒落のめした伊達 コキのイタリア男が、かくもイージーに「オッサン」へと陥落するのか??間はないんか間は。
なんか、【ウォモ】に登場するようなカコエエイタリア男と、禿で腹の出たイタリアのオッサンと2分類があって、そのふたつの間には何の相関関係もないような気さえするのだが、いや、確実に2者の間には時間を媒介とする密接な関係があることは明白だ。

なんでや????