
まりりんとトボトボ歩いてなんばまで。
バレンタインのチョコ作りの材料を買いに、新しいマンションが建ち並ぶあたりのスーパーへ。
ここは結構いろんな製菓材料や、輸入食材が置いてある。生鮮は少ないが、私のお気に入りの場所だ。
私が住む区は昔から、ホント、食に関してはダメダメなのである。
母親はいつも商売の手伝いで忙しかったが、時々その揺り返しか、
取り憑かれたように変わった料理を作ろうとした。
参考にする本が昔のハードカバーの料理本だから、家庭向けというよりほとんどプロ向け。
身の程知らずの無謀である。
しかもチャイニーズや洋風だから、当時本に書いてある材料が簡単に手に入るはずもない。
“豚の網脂”とか“白木耳”とか“オニオンペコロス”なんて、あの頃どこに売ってんのー!
ましてやウチの区は陸の孤島と呼ばれてきた地域。垢抜けたものなどひとつもなく、
私と母はいろんなところへ食材を捜しに行った。
食材だけではなく、調理器具もだ。中華蒸篭、親子鍋、はては棒温度計。ちょっと行き過ぎである。
母は元々化け学系の理系だったので、そういう目線で料理に取り組もうとしたのかもしれない。
ほっといたらシリンダとかピペットとか、台所に持ち出してたかも知れん。
輸入食材は、ミナミの千成屋にそこそこのモノはあった。
道具屋筋、梅田のデパート、黒門、鶴橋、神戸、錦市場。
買い物だけですごい労力だ。母にはなぜか燃え滾る執念があり、私はその災禍をもろに被った。
今じゃネットで何でも簡単に手に入るけど。
大体、なんでこんな料理作る意味があるん?
住んでる場所に全然似合ってへんし…とは当時からおぼろげに思っていたんやけど…
おかーちゃん、そんなもん作りたかったんやったら、嫁に来るとこ激しく間違うてるで。
…と、随分後になってわかった。
今も私の住む区の食糧事情は、大して変わっていないことに驚く。
外食もちょっと行くロクな店がないのだ。なんでかねえ。変わらんねえ。
近所のオッサンが行く婆さんのやってるスナックとか、ヤンキーの系譜を汲むご家族御用達のファミリー居酒屋風とか、お好み焼き屋のような一杯飲み屋とか、まあ、そんなんばっかしなんである。
まあそれはそれで地域の味もあるのだが…
だからあんまり外食とか、近所で飲む気がしないのである。
そんなに美味しくもないものに払う外食の対価って、高いよねえ。
自分で作れば大体1/4ぐらいで、材料もふんだんに使って美味しいものができる。

こんな楽しみも、子供の頃の食材探しウロつき回りのお陰かな、とは思う。
だから、家で好きなもんチョコチョコと作って飲む方がいいねえ。
おかげでまりりんは酒の肴でご飯が食べられる子に成長した。
後10年、15年たったときに、まりりんさんが、
返信削除その“おかげ”を評価してくれるかどうかですね。
親が食べないものはどうしても食べることが少ないし、
親が好むものは機会が増える。
道理です。
そうですねえ。結構偏ってますね、食べるもの。
返信削除まんべんなくしようとしてもそれは無理ですね。
しかし食は本当に大事。
周囲を見渡すと、中年男性の食生活のメチャクチャさが目に付きます。
健康食や自然食にしろっていうんじゃなくって、いくらなんでもその食べ方はアカンでしょ、
それやってりゃ病気になるのは当然よ、というレベル。
かなり問題だと思います。