東京には空がない。
大阪には本屋がない。
知り合いのオッサンデザイナーから
「なあ、今、デザイン書がいっぱいある本屋ってどこ?実物見たいねんけど」と聞かれた。
年を取るとお互い本職周りのことにさえ
疎くなって困る。
デザイン・美術書、洋書もきょうびネットなら大概のものは自宅にいながら手に入るし、レアな書籍でも海外のサイトを使えばほとんどが見つけられる。しかし…
しかし、「ブラッと行って良質なビジュアル本をパラパラめくり、アイデアの概要を固めたい」てな段階に、ネットというチャネルはいささか不適合である。
高額なデザイン・ムックや洋書など、いくらプロといえども、中身を見ずにポンポン買える代物ではない。
そもそも大阪は東京に比べて品揃えのよい(というか、特化した)本屋が極端に少ない。
文化の幅がマズシイのである。これは音楽関連のショップに関しても言えるな。
特に広告・デザインの世界は、無形のものにカネを出そうとしない大阪人の産業構造では苦戦を強いられてきたところに、この不況。
クリエーターたちを相手にしてきた、というか、アイデアネタ倉庫の役割を果たしてきた本屋はミナミなどに僅少ながら存在したが、商業的に成立せず次々撤退している。
えーと、そやそや、確かアメリカ村にランダムウォークがあったなあ。2006年ごろにオープンした洋販直営の洋書専門店で、ここに行けば1日中遊べる。…と思って、時間のあるときにゆっくり訪ねようと思っていた。こんな場所に仕事のためにパパッと行ってすぐ帰るのは勿体ない。
ちょっと調べてみる。…ん?閉めとるがな!予想もしていたがあまりに予想と合致した現実にクラリ。
えーともう一軒、確かどっかで見たな。
ハックネット大阪は南船場から数年前に堂島ホテル内に居を移していたが、もしや…と思ってホテルに電話するとやはり!「代官山に移転しました」だと。やっぱり大阪は食えねぇのだ。
紀伊国屋やジュンク堂はデザイン・アート関連の品揃えは大したことないし、この界隈ではまあ、これらのジャンル本が多少集積してます、ってことでやっぱり心斎橋アセンスに行くぐらいしかないのか。20年来進歩がなさすぎるが、専門料理本なども多くあるし、一般的な大型書店に比べれば随分マシなのかなあ…
東京とは外国人の数も圧倒的に違う(そして日本人・外国人含め、“この人何して食べてんねん?!”みたいな得体の知れん人の数も圧倒的に違う)大阪では、都心のど真ん中に青山ブックセンターみたいな本屋は成立しないのだろう。
神田みたいにあらゆるジャンルのマニア本、古書珍書がドッサーと集まっている場所もないしなあ。
いちいち京都や神戸のピンスポットに、ちょっくら本探しに、というワケにもいかん。
平積みにされた大判の書を手にとって眺めるだけで、いろんなワクワクするアイデアがわきあがってくる本屋が切にほしいのである。そしてそこから触発されて、また他のコーナーの書籍を次々とチェーンのように手に取り、気がつけば外の陽はゆうに傾いているような。
もちろん日々の仕事のために、ではなく、極私的な Time Killing のために。
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