それに引き換え先日の黒滝村、日中は暑いが木陰と水辺は涼しかった。夜に星降る時間、ずーっと表に出て1時ごろまで流れる星と雲をながめていた。黒い山の影が生き物みたいに、ゆっくり動く雲を隠す。誰かがきっとその暗闇の中にいて、ひとりのわたしをみている。それはまだ見ぬともだちかもしれないし、もっと不思議なかたちのないなにかかもしれない…

小さい頃に思っていたそんな気持ちが、この曲にすべて入っていて、だからこの曲が好きなのだ。

先日引っ張り出した絵のことから思い出したが、大学には車で通っていた。
田舎にある大学で、裏山を乱暴に整地しただけのような駐車場にいつも停めていた。
ある日徹夜で大学の近くのクラスメイトの下宿で課題を仕上げ、いったん風呂でも入りに自宅へ戻ろうと、ふらふらと大学の駐車場に止めてあった車に向かった。まだ息も白い早朝、しかも明け切らぬ時間だったと思う。
駐車場へ降りるあぜ道をおぼつかない足取りで踏んでいくと、何かガサっと草むらで気配がする。
ビクっとして、足がとまった。 でも、大人なら隠れられないぐらいの草の背丈だ。
恐る恐る一歩踏み出すと、こちらの気配を察して相手も動きを止めたのが分かる。 息を呑む空気がわかる。
こちらがその空気を破って歩き出すと、向こうも緊張をほどいた。
草陰から彼が出てきた。
気配の正体は、すこし汚れた白い犬だった。
わたしの顔をしばらくじっ、と眺めると、彼は歩くわたしについてきた。ちょっとだけ離れて、その間隔はずっと同じで、薄暗い時間に、あぜ道の枯れ草を踏むわたしと犬の足音だけが響いていた。
車にたどり着いて、乗り込もうとするとついてくる。
あかんよ、というとドアの外でじっと座って動かない。困ったな…
もう帰り、といってもだめだ。鼻の上を汚して、ニコニコと小首をかしげている。
仕方ないのでドアを開けたまま、シートを倒してカーステレオを小さい音でかけた。
彼はドアの外でリラックスしたように前足を投げ出し、落ち着いた体勢になってしまった。
もう、仕方ない。
しばらく一緒にいるとするか… 追い払うのも忍びないし、なんとなくさみしい。
どうせそんなに急がない。
ふと思いついて、本当はダメだけど、持っていたサンドイッチを「食べる?」と聞いてみた。
そんなに彼はガツガツしなかったけど、二人で半分ずつ朝食を食べた。

もちろん、犬なんだけどね。
疲れていたのと徹夜明けで気持ちが高ぶっていたのがないまぜで、彼にその日あったこととか、学校でのこととかをいろいろ話した。2時間ぐらい一緒にいたかもしれない。
彼はじっと、聞いていてくれた。
そのうち、わたしはその姿勢のまま、吸い込まれるように眠ってしまった。
気が付くと日はすっかり昇っていて、周りにも車がぽつぽつ停まりだしていた。
彼はもういなかったけど、しんとした夜明けの薄闇の中で二人でいた時間が忘れられない。
とても不思議な時間だった。

When someone in the dark reaches out to you
and touches off a spark that comes shining trough
It tells you never be afraid
Then somewhere in your heart you can feel the glow
A light to keep you warm when the night winds blow
Like it was written in the stars I knew
My friend, my someone in the dark was you
なんだかこちらまで不思議な気持ちになりました。
返信削除その彼の姿まで思い浮かんできて
すごく温かな優しさに包み込まれて
しばし別世界に連れていかれたそんな気分です・・。
写真も幻想的で素敵です・・・。
こんばんは、どうもありがとうございます。
返信削除別世界て…そんなオーバーな(笑)
ただのオバハンの昔話の書き散らしでおます。
写真は夏の大三角形の星空と、最後のE.T.以外は自分で撮ったものですが、いじりまくっています。
こんなことやりだすと、何もでけへんのですよねえ。
Michaelの生前の持ち物コレクション展を梅田スカイビルでやっているので、ふらりと行ってこようと思っています。
やっぱり衣装とか靴とかいろんな実物を見たい気がするので。
Keikoしゃん、自転車で行けるからちょいと行ってみたらどうです?
ちょっとあらためて、自分で読み返してみて。
返信削除こういう話の感覚を共有できる人が、
やっぱりワタシは好きなんだろうだなあ、と思います。